実績

伝統的男子学生寮 | 和敬塾

歴史と理念を前面に、学生が選ぶ理由を明確にする

長い歴史と理念を持つ和敬塾が、外部からどう見えるかを起点にした表現・構成を見直し、自らが大切にしてきた価値を基準に、誰に何を届けるべきかを定め直したプロジェクトです。

外からの見え方が、「何を大切にするか」の判断に影響していた

和敬塾は、長い歴史と個性的な理念を持つ私塾的男子学生寮で、その本来の価値は、独自の教養講座や濃密な共同生活を通じた人間的成長にあります。

少子化に伴う入塾希望者数の陰りを背景に、検索結果に表れる実態とは異なった否定的な印象が意識されるようになりました。

伝統や独自性を強く出すと、現代の学生には受け入れられにくいのではないか。そうした懸念から、サイトでは和敬塾固有の理念や独特の環境を前面に出すよりも、一般的で親しみやすい学生寮として見せる方向が選ばれていました。

間口を広げるための見せ方だったのですが、逆に長い歴史の中で大切に培われてきた理念や共同生活の価値が、学生が和敬塾を選ぶための判断材料として見えにくくなっていました。

最初の依頼は、検索結果上の印象改善だった

当初の相談は、検索結果上の印象改善でした。実態と乖離したネガティブキーワードを抑え、より一般的で受け入れられやすい寮として見せたい。SEOや表現の調整といった文脈から始まった依頼です。

この時点で焦点となっていたのは、和敬塾が持つ価値をどう伝えるかよりも、外部からどのように見えているかを改善することでした。

我々が関与した段階のサイトは、施設や生活に関する情報が簡潔に並ぶ構成で、「和敬塾では何を培うのか」「どのような成長を目指す場なのか」を伝える説明は、ほとんど見つけられない状態でした。

問題は、「どう見られるか」を基準にしていたこと

本来の問題は、見え方そのものではありませんでした。誰に何を提供する場なのかを、和敬塾が大切にしてきた価値を起点として、十分に示されていなかったことにありました。

価値や個性を強く出せば志望者が限定されるのではないか。
独自性を前に出せば敬遠されるのではないか。

そうした懸念から、何を前面に出し、何を控えるか、という判断が外部からの評価に影響されていました。

表現上の問題にとどまらず「何を大切にするか」という判断より「どう見えるか」が優先されるようになっていたことが、問題の根本にありました。

独自性を、学生が選ぶ理由として扱う

そこで、外からどう見えるかは度外視し、和敬塾が大切にしてきた価値を、伝え方の基準に据え直しました。

長い歴史や独自の理念、教養講座、濃密な共同生活は、現代の学生にとって必ずしも受け入れにくい要素ではない。一般的な寝に帰るだけの学生寮では得がたい経験であり、和敬塾を選ぶ理由になり得ます。

目指したのは、誰にでも同じように親しみやすく見せることではなく、和敬塾の考え方や生活のあり方を具体的に伝え、学生が自分に合う場かどうかを判断できる状態です。

一般的な学生寮と快適さや自由さだけで比較されるのではなく、和敬塾固有の歴史や理念、そこで得られる成長の機会を、選択の基準として示す方針へ切り替えました。

Webを、和敬塾を理解し、自分に合うか判断する接点へ

この再定義を、Webの役割にも反映させました。広く多数を集めるためだけの媒体ではなく、和敬塾の価値や個性を理解し、学生が自分に合う場かどうかを判断するための接点として設計しました。

理念と歴史をコンテンツの核に据え、親しみやすさだけでなく、和敬塾が大切にしてきた価値観まで伝わる構造へ組み替えました。そのために、書籍化された30年史、50年史を読み解き、過去の学生の姿や創設者の理念から、和敬塾が何を大切にしてきたのかを抽出していきました。

トップページは「なぜ和敬塾なのか」から始め、ナビゲーションや記事も、施設や機能を並べるのではなく、理念や価値観、独自の教養講座や共同生活を通じた学びを中心に再構成しています。

全面刷新せず、選ぶために必要な部分を変えた

実装では、サイト全体を作り直すのではなく、既存環境を活かしながら、学生が和敬塾を理解し、自分に合う場かどうかを考えるうえで重要な部分に絞って手を入れました。

対象としたのは、トップページ、ナビゲーション、情報構造、UIです。和敬塾が大切にしてきた理念や歴史に触れ、独自の教養講座や共同生活の意味を順に理解できるよう、情報の置き方と導線を組み替えました。

重要だったのは、見た目を一新することではなく、どの部分を変えれば、和敬塾を選ぶための材料が正しく伝わるかを見極めることでした。前段で定め直した価値を、トップページ、ナビゲーション、情報構造、UIへ具体的に反映する工程です。

変えたのは見せ方だけではなく価値の基準

この案件の核心は、サイトの印象を明るく変えることではありませんでした。

外から「どう見えるか」を優先した伝え方から
 → 和敬塾が大切にしてきた価値を起点とする構成へ

広く受け入れられるためのWebサイトから
 → 和敬塾を理解し、学生が自分に合う場かを判断できる接点へ

つまり、和敬塾が長く大切にしてきた価値を伝える基準に据え、学生自身の理解と選択につながるWebへ組み直したプロジェクトでした。

長く大切にしてきた価値を、次の学生へつなぐ

和敬塾には、長い歴史の中で受け継がれてきた理念と、独自の教養講座や共同生活を通じて学生を育てる環境があります。

この案件では、それらを和敬塾が大切にしてきた価値として捉え直し、学生が自分に合う場かどうかを考えられるよう、伝える内容と構成を組み直しました。

一般的で親しみやすい学生寮として見せるだけでは、和敬塾でなければ得られない経験までは伝わりません。理念や生活の意味が具体的に見えることで、初めてそれが学生にとって選ぶ理由になります。

和敬塾が何を大切にしてきたのかを明確にし、その価値を学生の理解と選択につなげたプロジェクトです。

※本記事は、当社が担当した企画設計・実装時点の課題定義と構成内容をもとに作成しています。
公開後の運用・追加改修により、現在の状態とは異なる​場合があります。​