実績
リストランテ公式サイト | SALONEグループ
共通する背景を残しながら、一軒ずつを特別なリストランテとして表現する
クリエイティブ イタリアンのSALONEグループ。各リストランテは、料理をつくる人、空間、サービス、そこで過ごす時間まで、それぞれに異なる個性を持っています。
店舗サイトとして必要な情報構造には緩やかな共通性を持たせながら、実際の店で得られる体験を翻訳し、デザイン、写真の見せ方、言葉まで一店ずつ設計したプロジェクトです。
最初の依頼は、新店開店一週間前のサイトの立て直しだった
最初に相談を受けたのは、2022年に丸の内で開店するbyebyeblues TOKYOのWebサイトでした。シチリアに本店を持つリストランテの東京店で、SALONEグループにとっても、他店の暖簾を掲げて出店する初めての試みです。
相談があったのは、開店まで約一週間という時期。すでに別の制作体制でサイト開発は進んでいましたが、予定している価格帯や店の格、そこで提供される食事体験に対して、Webサイトの見え方が追いついていないという相談でした。
我々は以前からSALONEグループの店舗を利用し、統括料理長やマネージャーとも交流がありました。byebyeblues本店にも東京出店以前に訪れており、店や料理についてある程度理解した状態で、このサイトを引き継ぐことになりました。
開店までに必要な情報と予約への入口をまず整え、最低限の構成でティザーサイトを開店に間に合わせて公開。その後、内容を拡充しながら、1か月弱後にフル版へと更新しました。
特別な日に選ぶのは、一軒の店
SALONEグループであること、それ自体に確立した信用があります。すでに店を知る人にとっては、系列店であることが、新しい店を訪れる理由にもなります。
一方で我々が意識したのは、まだその店を知らない人が、誕生日や記念日、大切な相手との食事にふさわしい店を探す場面でした。そこで選ばれるのは、SALONEグループのお店であること以上に、この特別な一軒に行ってみたいと思えるかどうかです。
そのために、まず料理や空間、人、そこで過ごす時間から、その店でしか得られない魅力を伝える。一軒の特別なリストランテとして立たせることを優先しました。グループであること自体を、各サイトの主役には置きませんでした。
共通化するのは情報構造、表現は一店ずつ設計する
同じSALONEグループでも、料理を担うシェフやその経歴、店の立地や空間、明るさ、客席と厨房の距離、サービススタッフとの接し方まで異なります。実際に店を訪れたときに残る食事の記憶も、一軒ずつ独特でした。
一方、リストランテのサイトとして必要な情報には共通するものがあります。Concept、Menu、Chef、Access、Reservationといった基本的な情報構造や、予約までの導線には共通性を持たせ、系列店への接続もフッターに残しました。
そのうえで、サイトの色、レイアウト、写真の見せ方、グラフィック、余白、情報の強弱は各店ごとに設計。共通のテンプレートに個々の店舗の情報を流し込むのではなく、共通化する部分を絞ることで、それぞれの店で過ごす時間を表現できる余地を残しました。
店で体験する印象を、デザインへ置き換える
実際に店を訪れたときに強く残る風景や体験を起点に各リストランテのデザインを行いました。
byebyeblues TOKYO

シチリアに本店を持つbyebyebluesの東京店。シチリアの街と海に夕日が沈むキービジュアルや、東京店に飾られた絵画から、その先にある「夜景」をサイト全体のトーンに設定しました。
黒を基調に、写真や情報を灯りのように浮かばせ、店舗のためにあつらえた陶器皿の模様もグラフィックとして展開。東京にありながら、Webを見る段階からシチリアの風景につながる表現を目指しました。
SALONE2007

ほの暗い店内で、金糸のペイズリーがろうそくの光を受けて揺らめく。その食事中の記憶をデザインの起点にしました。
ただし、光沢のある装飾をそのまま前面に出せば華美になりすぎます。ペイズリーは背景に薄く残し、きらめきはロゴや差し色に使うことで抑えつつ反映しました。
QUINTOCANTO

歴史ある重厚な石造建築のダイビル本館に入り、扉の先に現れるのは、対照的に明るくモダンな店内です。
細長い空間をスタッフが往来する一本の動線と、それを貫くように連なる特徴的な照明。シックでありながら明るく、サービスに軽快さのある店の印象を、この二つの要素から視覚化しています。
IL TEATRINO DA SALONE

細く暗い階段を地下へ降りると、まず目に入る背丈を超えるカラフルな錦鯉のアート。木のカウンターを中心に、料理やサービス、シェフとの会話が目の前で展開していきます。
Teatrinoはイタリア語で「小劇場」。錦鯉や木の質感を取り込みながら、カウンターの向こうで料理が展開される空間そのものを、一つの舞台として捉えました。
Vineria Salone

Vineria Saloneは、リストランテと同じグループに属する山形のワイナリーGrape Republicが自社ワインを料理とともに味わってもらうためにつくった店です。ワインをつくる人と料理をつくる人、その両者があって店が成立しています。
大きな窓から自然光が入る鎌倉の店舗と、その先につながる山形の畑、土、ブドウづくり。ほかの系列店とは異なる自然、明るさ、開放感を中心にデザインしました。
料理の背景にいる人まで、店の個性として伝える
SALONEグループの料理は、一人のシェフだけでつくられるものではありません。店舗によっては複数のシェフが同じ厨房に立ち、互いに刺激を受けながらメニューを組み立てています。それぞれの経歴や海外での経験が、料理の個性につながっています。
そこで、料理や空間だけでなく、それをつくる人も店を知るための重要な情報として扱いました。各店でシェフのプロフィールを掲載し、Vineria Saloneでは、料理人だけでなく、店のもう一方の主役であるワインの醸造責任者も前面に置いています。
原稿は基本的にクライアントから提供を受けましたが、シェフの異動や加入の経緯など、運営側では自然でも、初めて店を知る客には背景が分かりにくい説明もあったため、その人物や店の何が魅力なのかが伝わるよう、客の目線から文章を整えました。英訳も当初は提供原稿を調整していましたが、途中から翻訳そのものまで担うようになりました。
一店舗から始まり、異なる五つのサイトへ
byebyeblues TOKYOの公開後、SALONE2007、QUINTOCANTO、IL TEATRINO DA SALONEと、既存店舗のサイト制作も順次依頼されました。さらに、ワインを軸にした新業態のVineria Saloneへと制作は広がっていきます。
それぞれの改装などのタイミングに合わせて進めながら、基本的な情報構造には共通性を持たせ、表現はその店の体験から一軒ずつ考える方針を続けました。
固定したデザインを系列店へ展開したのではなく、店舗ごとの違いを読み取り、それぞれを一軒の店として表現する。以後も大枠を任せていただき、この考え方を軸に、異なる五つのサイトを設計していきました。
※本記事は、当社が担当した企画設計・実装時点の課題定義と構成内容をもとに作成しています。
公開後の運用・追加改修により、現在の状態とは異なる場合があります。