実績
産業用プリンタメーカー採用サイト | MUTOH
製品の背景にいる人々とその仕事から、会社の姿を伝える
採用サイトの新設に向けてMUTOHの製品や事業を調べていくと、その背景には、製品情報だけでは見えてこない人々の仕事がありました。
どんな人が製品を生み出しているのか。その人々の仕事や、周囲との関わりまで追いながら、求職者がその会社で働く姿を具体的に思い描けるよう、社内への取材を重ねていきました
依頼は、採用サイトの新設だった
プロジェクト当時、MUTOHホールディングス株式会社(現MUTOH株式会社)・武藤工業株式会社には、採用情報をまとまって伝える専用サイトがありませんでした。採用情報はコーポレートサイトや外部の求人媒体を通じて発信されていましたが、自社の事業や仕事、働く人について知るための接点は限られていました。
採用では、開発職や営業職など専門性の高い人材、とりわけ長野で働く新卒・若手人材の確保が課題になっていました。知名度のある競合企業と比較されるなか、「ドラフターの会社」という過去からの印象が強く、現在の事業や仕事の姿が十分に伝わっていないことも課題となっていました。
そこで依頼されたのが、採用に特化した新しいWebサイトの制作でした。既存の企業サイトとは別に、現在のMUTOHの姿を伝え、求職者が就職先として検討するための情報を届けることが求められていました。
当初の要望には、サイトの古い印象を改めたい、世界で事業を展開する企業としての姿を伝えたい、といった見せ方に関するものもありました。
ただ、制作に向けて既存の情報を調べていくと、別の点が気になり始めます。製品や事業についての情報は数多くある一方で、それを生み出す人々の考え方や、実際の仕事の姿はほとんど見えてこなかったのです。
高性能な製品を支える、人と仕事の姿は見えていなかった
採用サイトの提案にあたり、まずMUTOHがどのような会社なのかを我々自身が知るところから始めました。
コーポレートサイトや会社案内には、現在の事業や製品についての情報があります。大判インクジェットプリンタをはじめ、専門性の高い製品を国内外で展開していることも分かります。
さらにYouTubeの「MUTOH Channel」で製品紹介を見ていくと、ユーザーの用途や要望を細かく拾いながら、それを製品へ反映している様子が見えてきました。製品の機能を追うほど、その背景に開発やものづくりに関わる人の工夫や熱量があることが感じられました。
一方、当時の企業サイトや会社案内では、そうした製品が生まれる背景や、そこに関わる人々の姿まではほとんど表に出ていませんでした。 事業や製品について知ることはできても、そこで働く人や仕事の姿までは見えてきません。
企業の製品を購入する顧客と、そこで働くことを検討する求職者では、知りたいことが異なります。求職者にとっては、製品や事業だけでなく、どんな人と働くのか、そして仕事への関わり方、そこで得られる経験も、就職先を考える材料になります。
私たちは、製品や事業の説明を増やすだけでなく、その背景にいる人と仕事を表に出すことが、採用サイトの中心になるのではないかと考えました。この方向を「MUTOHのストーリーを紡ぐ」と表現し提案の核に据えました。
人を追うと、MUTOHの仕事の実像が見えてくる
ただ、初期提案の段階で見えていたのは、既存の製品発信から読み取った仮説です。製品の背景にある仕事を確かめるには、実際に社内へ入り、働く人の話を聞く必要がありました。
経営、人事、開発、製造、生産管理、マーケティング、海外営業まで、職種や立場の異なる社員を広く取材しました。
そこで見えてきたのは、製品情報だけでは分からない仕事の実態です。
開発では、機構、ソフトウェア、インク、電気、アプリケーションといった異なる専門分野の担当者が少人数のチームを組み、一台のプリンタをつくり上げていました。それぞれ専門領域を持ちながら、互いの領域にも関わり、製品全体を見渡しています。若手であっても、自分の意見を製品に反映できる環境がありました。
製造では、高い精度を実現するために、熟練した人の手による組み立てを重視していました。さらに、製造、購買、検査、設計、品質といった部門が近い場所で働き、問題が起これば製品や部品を前にして、その場で一緒に解決していく。単に「ものづくりの会社」という言葉では見えてこない、仕事の進め方まで取材から浮かび上がってきました。
顧客の要望が営業やマーケティングから技術・開発へつながり、製品へ戻っていく仕事の流れも見えてきました。
少人数だから担当領域が広く、開発から製造まで部門の距離も近い。高い製品精度の背景には、個々の専門性だけでなく、人が互いの領域に関わりながらものづくりを進める仕事のあり方がありました。
製品情報だけでは伝わらなかったMUTOHの姿が、社員一人ひとりの仕事を追うことで具体的に見えてきました。


一人ひとりの仕事を、短い社員紹介で終わらせない
一般的な採用サイトでは、社員インタビューは定番のコンテンツです。仕事の内容や入社理由、会社の魅力を、短い紹介としてまとめる形も多く見られます。
ただ、MUTOHで取材した社員の話には、短い紹介記事だけでは伝わりにくい仕事の経緯や、周囲との関わりが数多く含まれていました。
そこで社員インタビューは、会社の魅力を短く紹介するためのコメント集にはしませんでした。
入社に至った経緯から、配属後に経験した仕事、周囲との関わり、難しかったことや転機、何にやりがいを感じているのか、そして今後やりたいことまで掘り下げています。
そのため、各インタビューは一般的な採用サイトの社員紹介よりもかなり長いものになっています。読む量を減らすより、関心を持った社員の仕事やキャリアの流れを十分に追えることを優先しました。
「世界で働ける」を、実際のキャリアで示す
当初の要望の一つに、世界で事業を展開する企業としての「グローバル感」を示したい、というものがありました。
MUTOHは海外にも販売拠点を持ち、製品を世界各地へ展開しています。しかし、海外展開していることを会社概要や拠点数として示すだけでは、そこで働く人の仕事までは見えてきません。
取材を進めると、海外で働くことは企業イメージではなく、実際のキャリアとして存在していました。
海外営業の社員は、もともと「若いうちから海外で働きたい」という軸で就職先を探し、武藤工業へ入社しています。最初の一年は生産管理で製品を学び、その後、本社で海外営業を担当。入社から数年でヨーロッパへ駐在し、欧州市場の営業に携わるようになりました。現地では多国籍のメンバーと働きながら、顧客や市場から得た情報を日本へ持ち帰り、製品や営業活動へ反映しています。
国内にいる社員の仕事も、海外と切り離されているわけではありません。グローバルマーケティングでは、海外市場の販売支援や顧客ニーズを踏まえ、営業、サービス、技術、開発と連携しながら製品や施策を考える仕事が行われています。
長野や東京で始まった仕事が、海外市場や現地の顧客につながり、そこで得た情報が再び日本の開発やものづくりへ戻ってくる。
「グローバル感」を表現として加えるのではなく、実際に世界とつながって働いている社員を通じて、その中身を見せることにしました。
新しい社員の声を加えながら、会社の姿を更新していく
公開後も社員インタビューは追加され、採用noteやInstagramなど、サイト外の採用発信にも接続・展開されています。
採用サイトで人と仕事を中心に据えたことで、取材した社員の声は、公開時だけのコンテンツで終わりませんでした。新しい社員や仕事を加えながら、その時点のMUTOHを伝えていける採用情報の基盤として使われています。
求職者にとっても、製品や事業の情報だけでは見えにくかった仕事の内容や働く人の考え方を、継続して知ることのできる場所になりました。
一度つくった会社紹介を固定して見せるのではなく、働く人の実像を加えながら、会社の姿も更新していく。公開後も人を起点にMUTOHを伝え続ける採用接点になっています。
※本記事は、当社が担当した企画設計・実装時点の課題定義と構成内容をもとに作成しています。
公開後の運用・追加改修により、現在の状態とは異なる場合があります。