実績

大手通信企業グループグローバルLP

企業情報の羅列から、「相談できる相手」として伝わる構成へ

米国を中心としたグローバル市場への本格展開に向けた、大手通信企業グループのブランド訴求LP。外部経済メディアと連動した公開が迫る中、構成さえ確定していなかったプロジェクトを引き継ぎ、海外企業が「相談できる相手」として理解できる流れへ組み替えた案件です。

誰にどう伝えるかが定義されていない状態で公開期日が目前に迫る

我々が関与する前、このブランドLPプロジェクトはすでに代理店主導で進行していました。

大手経済メディアのPR記事と連動するため公開日は動かせず、期日が迫る中で、掲載すべき材料だけがならび、LPの完成形はまだ見えてきません。

提示されている材料はグループ概要、技術力、規模、グローバルでの提供体制、大企業との実績。

しかし、このプロジェクトの目的を考えれば、企業情報をリストとしてページに並べても意味はない。

未認知の海外企業に対して、何を入口にすれば「自社の課題を相談できる相手」と受け取られるのか。その流れを、LPの構成として設計することが必要でした。

会社紹介や規模の訴求では、相談相手にはなれない

我々が関与する前に作られていたデザインカンプ2案は、見出しレベルまでしか設計が進んでいませんでしたが、いずれもクライアント側の資料を整理して見せることを想定した構成でした。

一方は、ビジョン、強み、グループ概要を並べた会社紹介型。
もう一方は、世界No.1、No.2、TOP10といった規模や順位を訴求するインフォグラフィック型。

両案とも要件である企業情報を収める枠組みにはなりそうでしたが、世界の大企業が「この会社は自社の複雑な課題を任せられる相手か」と判断するための流れにはなっていませんでした。

大企業向けのICTサービスは、機能や規模を並べるだけでは差別化できません。顧客が知りたいのは、どれだけ大きく立派な会社かではなく、自社の複雑な状況を理解し、解決へ持っていける相手かどうか、それが伝わるLPにすること。私たちの考えた核心はそこでした。

必要だったのは、売り込みではなく対面に近い相談の流れ

構成にあたり、LP全体を、顧客の問いを起点に進む商談として設計しました。

まず相手の悩みを受け止め、次に解決できる範囲の広さを示す。
そのうえで、ケーススタディ、取引実績、外部評価、グループ会社の専門性を重ねていく。

売り込むのではなく、相談できる相手として信頼を積み上げる流れです。

顧客満足を高めたい。コストを下げたい。生産性を上げたい。複雑化したICT環境を、信頼できるパートナーにまとめて任せたい。

そうした漠としたビジネス上の懸念を入口に置き、その受け皿として、ワンストップで対応できるサービス領域を提示する。

ここで初めて、技術の全レイヤー・全工程に幅広く対応し、グローバルにサービスを提供できるグループの強みが、顧客の関心を引くポイントとして立ち上がってくるのです。

総合力は、顧客の文脈に翻訳して初めて伝わる

このグループの強みは、個別の技術や実績を並べるだけでは伝わらず、データセンター、ネットワーク、マネージドICT、アプリケーション、運用・保守といったグループ各社の機能をつなぎ、課題が明確でない段階から、移行、構築、運用、マネジメントまで一貫して対応できることを示す必要があります。

グループのラインナップを自社側の組織分類で並べても、初めて接触する海外企業には伝わりません。

重要なのは、顧客が直面している状況に対して、その総合力がどう役に立つのかを示すことです。

「何を持っている会社か」ではなく、「どこまで相談できる相手なのか」。

顧客の課題を起点にした流れに変えることで、グループ各社の技術力や実績は、単なる企業情報ではなく、相談相手としての信頼を支える材料になります。

海外市場では、信頼の見せ方も変わる

また海外市場に向けたLPでは、日本国内で一般的な信頼や実績の見せ方を、そのまま置き換えても伝わりません。

日本での知名度や実績は、信頼材料にはなりえますが、ブランドを認知していない海外企業に対しては、最初からそれを並べても、相手が抱えている課題とは結びつきにくい。

英語圏のBtoBサイトには、課題の提示、ベネフィットの伝え方、実績や信頼材料を置くタイミングなど、馴染みのある語り方があります。日本語の構成をそのまま翻訳すると、言葉は英語でも、ページ全体の進み方には日本市場向けサイトの感触が残ります。

そのため、このLPでは日本語で構成を作ってから翻訳するのではなく、構成段階から英語で設計しました。海外企業が自然に読み進められる順序、言葉の粒度、コピーとレイアウトの関係までを、英語圏向けLPとして組み立てています。

海外市場に向けて何を言い換えるかではなく、どの順序なら理解され、どのタイミングで信頼材料を提示すれば意味を持つのか。コミュニケーションの作法から組み替えたことが重要でした。

短納期だからこそ、決める順序を守る

前述のとおり外部メディアとの連動が決まっていたため、公開日は動かせませんでした。

依頼から公開までの時間は限られており、通常であれば新たな制作体制を組むこと自体が難しい状況でした。実際、我々に依頼される前に、複数社が対応を断るほど、時間的な制約は厳しい案件でした。

短納期の案件では、期限が迫るにつれ、構成やコピーが固まっていないのに、デザインなど後工程を動かしたくなります。

この案件でも当初は、構成・情報設計がまだ固まっていない段階で、与えられた企業情報をもとにデザインカンプの制作が進められていました。後工程を先取りすることで、表面的には制作が進んでいるように見えるからです。

しかし、LPで何をどの順序で伝えるかが決まっていなければ、デザインは確定できません。後から構成が変われば、それに合わせてコピーもレイアウトも作り直すことになります。

私たちは、後工程を無理に動かさず、各段階で何を判断するのかを明確にしながら、順序を崩さずに進めました。

最初に、企業情報をどう並べるかではなく、海外企業にどう理解してもらうかを構成として示す。次に、コピー入りのワイヤフレームで流れを確認する。デザインでは、その流れが視覚的に崩れていないかを確認する。

各段階で、何を見て、何を決めるのかを明確にすることで、クライアント側も判断の対象を見失わずに的確なフィードバックが可能になり、スムーズに次の工程へ進めました。

その結果、レビューのたびに構成まで戻って大きく作り直すことなく、公開まで進めることができました。

短納期を力で押し切ったのではなく、工程ごとの合意を飛ばさず、一つずつ判断を積み上げたことが、この進行を成立させています。

何が変わったのか

企業情報の紹介から
 → 相談できる相手として信頼を積み上げる流れへ

規模や実績の訴求から
 → 解決できる範囲の広さの提示へ

素材の羅列から
  → 読み進めるほど、任せられる理由が見えてくる構成へ

進行が止まっていた状態から
 → 判断対象を明確にし、構成、デザイン、実装へ迷わず進められる状態へ 

企業情報を羅列したLPではなく、海外企業が「この会社に相談できる」と判断するための接点へ変わったのです。


大手通信企業グループとしての規模、技術、実績、グループ会社の総合力は、もともと企業の中に存在していたものです。それらを顧客が抱える状況から捉え直し、どこまで応えられるのかを示し、実績や専門性によって信頼を積み上げる順序に置くことで、初めて強みとして機能します。

外形的には、グローバル向けLPを短期間で制作したプロジェクトです。しかし実際に行ったのは、企業側が伝えたい情報をまとめることではなく、未認知の海外企業が、自社の課題を相談できる相手としてこのグループを理解するための流れをつくることでした。

止まっていたプロジェクトは、その流れを構成として定めることで動き出し、LPは海外市場に向けたコミュニケーションの接点として形になりました。

※本記事は、当社が担当した企画設計・実装時点の課題定義と構成内容をもとに作成しています。
公開後の運用・追加改修により、現在の状態とは異なる​場合があります。​